
日本がん治療認定医機構
(Japanese Board of Cancer Therapy:JBCT)
理事長 調 憲
この度、日本がん治療認定医機構(Japanese Board of Cancer Therapy:JBCT)の理事長を拝命しました調 憲(しらべ けん)でございます。初代の今井浩三先生、平岡真寛先生、西山正彦先生、大江裕一郎先生に次いで、5代目の理事長となります。私は元々肝胆膵外科医で、日本消化器外科学会、日本肝胆膵外科学会などで活動してまいりました。がんの医療に関しましては主に日本癌治療学会において活動の機会をいただいておりました。JBCTでは、大江裕一郎前理事長の元、事務局担当理事としてのお役目をいただいておりました。もとより浅学菲才の身、身に余る重責ではございますが、全力を尽くして職務に当たる覚悟でございます。ご指導、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
JBCTは、 日本医学会の提言に基づき2006年12月に発足しました。日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会の3学会、全国がんセンター協議会(全がん協)の枠組みで発足以来20年が経過しようとしています。JBCTが認定医制度を通して目指してきたことは、がん患者さんが全国どこでも適正ながん治療が受けられるために、がん治療の均てん化を図ることにあったと理解しております。この20年の間、がん医療の進歩は日進月歩であり、医療の実践の場でも最先端の科学に基づく技術や豊富な医学的知識を必要とし、エビデンスに基づく医療の実施が求められています。ゲノム医療は日常診療となり、患者さんのゲノム情報やその他の生体分子情報に基づくPrecision Medicineの実践ががんの専門医に求められる時代になり、研究成果に基づいた分子標的薬が数多く開発されました。また、近年免疫チェックポイント阻害剤を中心としたがんの免疫療法は、様々ながん種の標準治療となり、従来のがん治療に大きな変革をもたらしました。一方で免疫関連有害事象に対する対策が極めて重要になっています。
2025年の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」におきまして、今までがんの診療提供体制においては均てん化が重要なキーワードでしたが、いわゆる2040年問題や消化器外科医の減少問題に対応するために高度ながんの治療に関しての集約化が議論されました。このようにがん治療を専門とする医療者はがん診療提供体制の再編成という問題に直面しています。
いま一つ気がかりなことは新規のがん治療認定医の数が減少傾向にあることです。約1,000名の新規の認定医が誕生してきた以前に比べると、直近の2年は新規認定数は500~600名に減少しています。結果として、がん治療認定医20,000人を目標の一つとしてきた認定医数もこの数年間18,000人を超えたところで足踏みをしています。この減少の原因としては、がん治療を志す医療者自体の減少やがん専門医のキャリアにおけるがん治療認定医の立ち位置の不明瞭さ等が想定されますが、いまだ明らかにはなっていません。しかしながら、がん医療における専門医制度のあり方も臨床現場のニーズに応える形となるように早急に議論を進めていく必要性を感じています。そのためにはがんの診療に関わられている多くの先生方のご意見を集約し、日本のがん医療を継続可能にする専門医制度はどうあるべきか、その中でJBCTはどのような役割を果たすべきか、検討していく必要があると考えています。
最後に、がん治療認定医制度がさらなるがん医療のボトムアップや均てん化、がん医療の持続可能性に資する制度となりますよう、皆様のご支援を衷心よりお願い申し上げます。(2026年7月)